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赤いきつねと緑のたぬき 1

みどり

テレビのCMを見ていて思いついたネタなんだけど。

CMですか?どんなネタですか?

あきな
みどり

なぜ「赤い」は形容詞なのに,「緑の」は形容詞ではないのか。

そんなことが気になるんですか?それがどうかしました?

あきな
みどり

おそらく言葉が成立した時期を反映しているのではないかと思ったのよ。おそらく「赤い」という形容詞は成立が古くて,「緑の」は成立した時期が新しいんじゃないかって。であるなら,日本人がというものをどういう風に認識してきたかという歴史がわかるかもしれないと思ったのよ。

なるほど。それはあるかもしれないですね。

あきな

日本語における色の表現

みどり

調べてみると,色の名前の中で

① 色の名+い」で表せるのは,赤い,黒い,白い,青い,の4つだけ。(赤々と,黒々と,白々と,青々と,という風に副詞的に使われるのもこの4つだけ)

② 色の名+色+い」で表せるのは,黄色い,茶色い,の2つだけ。

それ以外の色は,

 「緑の」のように「色の名+の」で表すか,もしくは
  「緑色の」のように「色の名+色+の」でしか使えない。

そうなんですか。色なんて形容詞の代表みたいな気がしていたから,意外ですね。で,言葉が成立した歴史との関係はどうなのですか?

あきな
みどり

もともと日本語の色の表現は4つしかなかったみたい。

赤: 明(あか)しが由来。 明暗のアカ
黒: 暗(くら)しが由来。 明暗のクロ
白: 顕(しろ)しが由来。 顕淡のシロ
青: 淡(あわ)しが由来。 顕淡のアヲ

明るい色は赤、暗い色は黒、はっきりした色は白、曖昧な色は青ということです。

色の三属性というのがあります。色の明るさを示す「明度 (value) 」。色の鮮やかさを示す「彩度 (chroma) 」。目に入ってくる波長による色合いを示す「色相 (hue) 」です。パソコンで色を作るときもこの3つを変えますよね。

我々は現在,というのは「色相」で表現していますが,日本語の成り立ちでは「色相」ではなく,「明度」と「彩度」で色を表現していたことになります。

さらに途中で,赤と白の意味が入れ替わっていることもわかります。(赤が彩度が高く,白が明度が高くなっている)対立語としても,白−黒赤−青,になっていますよね。

この4色が,特別な地位を占めていて,古くにおそらく同時に成立したと考えられています。じっさい古事記には,この4色しか登場しないそうです。

で,段々といろいろな色を使えるようになっていくうちに「色相」で色を表すことが広まっていったんじゃないかな。で,次に黄色茶色が色の表現として入ってくる。最後にあとは色々な色の表現が加わってきた。そんな感じじゃないかな。

 

なるほどー。最初は現在でいういわゆる「」は使われていなかったんですね。意外です。

そういえば,私,留学生に何故日本では green signal緑信号じゃなくて青信号というのか聞かれたことがあったんです。何故緑なのに青信号というのですか?

あきな
みどり

昔お笑いにいたの,コント青信号でしたっけ。違うか。じゃあ,次はその問題について考えてみましょう。

赤いきつねと緑のたぬき 2 へと続く

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