一般

ショパンコンクール

みどり

さて,クリスマスはどうでしたか?

クリスマスイブは家族と過ごしましたが,イブイブは友達と食事に行きました。

あきな
みどり

あら,もしかしてイブって前日の意味だと思ってない?

えっ?違うんですか?

あきな
みどり

違うわよ。文字通り,イブニングイブよ。

えっ。そうなんですか?

じゃあ,クリスマスイブって本当は25日の夕方じゃなきゃいけないんじゃ?

あきな
みどり

24日の夕方であってます。

元々ユダヤの暦では,日没を1日の始まりとする習慣があったらしいのよ。だから現在でいう24日の日没とともに25日が始まります。

だから現在でいう24日の夕方クリスマスイブにあたります。

そっかぁ。じゃ,クリスマスイブの昼にご飯でも食べましょう,なんて言い方は本当はおかしいんですね。

あきな

使用されたピアノ

みどり

さて,今日はショパンコンクールのお話です。

ショパンコンクール? 何故に。このブログは科学のブログではなかったのですか?

あきな
みどり

いつこのブログは科学のブログだと言いました? いいのよ。なんのネタだって。 科学に関しては鰻屋のうなぎだけれど,それ以外のネタはスーパーのうなぎだと。(なんかどっかで聞いたことあるような例えだわ)

だって,年末に深夜 BS去年のショパンコンクールの特集やってたんだもん。ついつい話したくなってしまうじゃないの。

 

さて,まずは使用されたピアノについてのお話です。

今回はスタインウェイ2種類と,ヤマハシゲル・カワイファツィオリ(伊: Fazioliが用意されました。

出場者は,15分時間が与えられて,弾き比べて,どれを弾くかを決めます。置いてある場所によっても響きが異なるため5人おきに場所も変えます。

ファツィオリ? スタインウェイヤマハカワイは知っているけど,ファツィオリは初めて聞きました。

ベーゼンドルファーベヒシュタインは使われないのですか?

あきな
みどり

ファツィオリは1981年創業の新しい会社だからね。綿密な手社業をふんだんに盛り込んで作られる,世界で最も高額なピアノとして知られています。

最近は,コンクールコンサートホールで使われることが多くなっています。ジュリアード音楽院でも導入が認められたらしいです(今まではスタインウェイしか認められなかった)。もっとも,年間120台くらいの生産量なので,まだ累計でも三千数百台しか作られていません。

ベーゼンドルファーベヒシュタインは最近採用されていませんね。ベーゼンドルファーは今はヤマハ完全子会社だしね。

ファツィオリのロゴタイプ
みどり

今年の1次予選で使用されたピアノは次のような結果になりました。

使用したピアノ使用した人数
スタインウェイ64
ヤマハ9
ファツィオリ8
カワイ6

やっぱりスタインウェイが圧倒的ですね。

あきな
みどり

前回はスタインウェイヤマハ半々だったのよ。前回2位前々回1位ヤマハだったので,だいぶスタインウェイに追いついてきたと言われてたんだけど,今回はあまり選択されませんでしたね。しかも期待の牛田智大(うしだ ともはる)さんや京増修史(きょうます しゅうし)さんがよもやの2次予選で脱落してしまったので,早く消えてしまいました。

で,入賞者の使用したピアノはというと

入賞者に使用されたピアノ入賞者に使用された人数
ファツィオリ 名
スタインウェイ 名
カワイ 名
みどり

となりました。特にファツィオリ1位,3位,5位を占め,前回は1人にしか採用されなかったことを考えると大躍進の結果です。是非ファツィオリの名前を覚えておいてください。今後見かけることが増えると思います。

ちなみに入賞した日本人は2人ともスタインウェイを使っていました。

セミファイナリスト 角野 隼斗(すみの はやと)

角野 隼斗
みどり

さて,第18回ショパンコンクールは大きな話題となりました。 まずはセミファイナリストになった角野隼斗すみの はやと)さん。

彼は開成高校から東大の工学部,及び大学院(修士課程)を卒業しています。大学受験の時には東京藝術大学とどちらを受験するか悩んでいたようです。ご両親から,進路を迷っているならまず東大に入ってから本当にやりたい事を見つけていくのがベストでは?,と助言されたことと,本人によると,ピアノを毎日何時間も練習するのは無理だったが、数学の問題を解くのは長時間でも平気だったので、東大にした,ということです。実際の活躍を見ると,芸大より東大を選んだのは正解だったように思いますね。

高校在学中はバンドを組んでいて,YOSHIKIに憧れていたのでドラムを叩いていたそうです。また音ゲーリズムゲーム)にも熱中していて,センター試験3週間前eスポーツ全国大会に「JUKENSEI」という名前で出場して,8位に入賞したそうです。

修士在学中に,日本最大のピアノコンクールである,ピティナピアノコンペティション特級グランプリを獲得します。その二週間後,フランス音響音楽研究所 (IRCAM) に留学しています。修論のテーマは「音響特徴空間の聴覚的な類似度を考慮した自動採譜および自動編曲への応用(Automatic Music Transcription based on auditory similarity in audio feature space and its application for Automatic Music Timbre-based Arrangement)」具体的には,例えば,ヴァイオリンピアノ編曲する場合,ヴァイオリンは音を長く伸ばすことができますが,ピアノはそうは弾けませんよね。例えばピアノではそこを「トレモロ」するというようなことを,AIに自動的にやらせるということです。

今はAIベンチャー企業に在籍しながら,演奏中心の生活をおこなっているようです。彼は「ピアノも弾けるAI研究者よりAIもわかるピアニスト」を選択したとのことです。

クラシックにこだわることなく様々なジャンルで活躍されていて,ショパンコンクールクラシック),紅白歌合戦ポップス),ブルーノートジャズ),フジロックフェスティバルロック)に出場されています。また,作曲編曲にも才能を発揮されています。
現在は東大のサークルで知り合った6人のメンバーでPenthouseというバンドを結成し,メジャーデビューを果たしています。このバンドでは,V6にも楽曲を提供しているそうです。また,清塚信也さんや櫻井翔さんもこのバンドのファンだということです。

また,「かてぃん」という名でYou Tuber としても活躍されており,チャンネル登録者数は100万人を超えています。。

はぁ。すごい才能の持ち主ですね。これからの活躍が楽しみですね。

あきな

第4位入賞 小林愛実(こばやしあいみ)

小林 愛実
みどり

小林愛実(こばやし あいみ)さんは,山口県宇部市のご出身です。7歳でオーケストラと共演するなど,小さな頃から活躍されています。

彼女の凄いところは,ショパンコンクールには,2回連続で出場されていることです。前回も,入賞は逃しましたが,ファイナリストになっています。

本人も今回始まる前のインタビューで「(今回の出場は)失うものしかない」とおっしゃっていました。せっかく前回ファイナリストという称号を得られたのに,今回も,ファイナルに出られるという保証はありません。これだけ世界中からトップレベルピアニストが集まっている中で,ファイナル12人に,2回連続で残るというのは至難の業です。初めて出場する人と比べて,前回結果を出しているわけで,前回以上の結果を出さなければいけない,という強烈なプレッシャーがあったはずです。さらにショパンコンクールは3週間という長丁場で,その間,最強のプレッシャーを感じ続けなければならない,過酷なものです。普通,一度その経験をしてしまったら,もう2度とこんな経験したくないと思いますよね。そのプレッシャーを感じながらよく,出場を決断し,実際に前回を超える第4位入賞という結果を出しました。ファイナルには2位の成績で進出しています。本当にその精神の強さには頭が下がります。本当におめでとうございます。

小柄な方なのに,ものすごい強い精神力をお持ちなのですね。

あきな

第2位入賞 反田恭平(そりたきょうへい)

反田恭平
みどり

 

第2位に入賞された反田恭平そりた きょうへい)さんは,札幌市の生まれです。幼稚園の年長組から東京で育っています。小学生の頃はピアノよりサッカーに夢中だったようで,サッカー選手になるのが夢だったそうです。ただサッカーで突き指をしたのがトラウマになり,ピアニストを目指すことにしたようです。

第4位になった小林さんとは同じ小学校の1年違いだったそうです。近所の幼馴染で,ピアノの教室も高校も同じ所に通っていました。

小6の頃,母親に勧められて「のだめカンタービレ」のドラマを見て,ピアノ以外の交響曲などを知るようになります。その頃「題名のない音楽会」などで,オーケストラを指揮する機会を得ます。それ以降,指揮にも興味を持ち,現在,奈良市ジャパン・ナショナル・オーケストラを作り,指揮者としても活躍されています。今回,ショパン協奏曲を弾くにあたり,「オーケストラを知っている分,他の人とはちょっと違ったんじゃないかな」とおっしゃっていました。将来は音楽院を作り,そこの専属オーケストラとして,また日本の精鋭たちのオーケストラに育てたいと言うことです。

また中学生の頃「ピアノの森」というマンガを勧められて夢中になり,主人公たちが弾く作品を片っ端から楽譜を購入して弾いていたといいます。本人も「ピアノの森」と共に成長してきたと語っています。

音楽高校に行きたい,と父親に言うと,「そんなに音楽高校に行きたいのなら、コンクールで1位を取って、その賞状を俺のところに持って来い」と言われコンクールへ出場。1つで最高位を、その他全てで優勝を飾り、桐朋女子高等学校音楽科(共学)へ進学を決めます。高校で担当した講師によると,反田,小林両名はやはり傑出していたのか,クラスの中でも「とんでもないような感じの子」だったといいます。授業中全く興味がなく聞いていないふりをしていて,演奏を指名されると,「いや全然弾いていないからなあ,弾けませんよ」と弾きたくないそぶりを見せながらも本当は弾く気満々で,完璧に弾いてみせるというような,めんどくさい子だったといいます。

夏休みとかは,祖父母が住んでいる札幌で過ごされていたようです。中島公園にある「札幌コンサートホール Kitara」を見て,いずれ絶対ここでコンサートをやる,だからそれまでは中には入らない,と心に固く誓い,建物の周りをぐるぐる回ったそうです。もちろん,その後それは何回も達成されることになります。

そして,高校3年生の時、日本音楽コンクールで,男性では史上最年少となる18歳で第1位となります。小林さんはなんとその時,初めて,「あぁ,お兄ちゃんピアノ弾けるんだぁ」と思ったそうです。

えええっ,その時初めてですか? (笑)

私もNHKでやっていた「ピアノの森」のアニメ見ていました。

小学生の主人公,一ノ瀬海いちのせ かい)が,元名ピアニストだった阿字野壮介あじの そうすけ)と出会い,その薫陶を受け,ショパンコンクールを目指す話ですよね。ショパンコンクール編では,ショパンコンクールってこんな風に行われるのかってのがわかって,本当に面白かったです。だから今回のショパンコンクールは,ネットでも中継されてましたし,日本人も大活躍でしたし,本当に楽しませてもらいました。

あきな
みどり

あのアニメで主人公の先生,阿字野壮介のピアノを担当していたのが,なんとこの反田恭平さんだったのです。一流のピアニストでしたが,交通事故で左手の動きが悪くなり,引退したという設定です。反田は,左手が不自由な設定なので,あまり速く弾きすぎるのもおかしいということで,苦労されたようです。

はぁ,阿字野壮介のピアノ,反田さんの演奏だったんですか。随分色々と因縁がありますね。

あきな
みどり

その頃,反田さんは,清塚信也に,「おまえ,将来絶対俺より売れるなよ。絶対にだぞ」といつも脅されていた言い含められていたそうです。

さて,ショパンコンクールへの出場は最初迷っていたそうです。すでにピアニストとして「日本一チケットの取りにくいピアニスト」と言われ名を成していたので,結果が残せなければファンを失望させてしまうという心配をしていたのです。でも,本人はショパンのピアノ協奏曲第1番のことを,全てのあらゆる芸術の中で最も美しい,と語っていました。途中で棄権してもいい,というつもりで出場を決めたようです。

ショパンコンクールも1次予選,2次予選,3次予選と進むうちに,観衆の中でそれぞれ贔屓のピアニストが出てきます。少しでもアピールしたいということで,を思わせるちょんまげヘアースタイルで出場しました。やはり目立っていて,ファンも増えていました。

結果的には出場してよかったですね。

あきな
みどり

ショパンコンクールファイナルではオーケストラ協奏曲を共演しますよね? 最後,ピアノの演奏が終わった後,少しオーケストラの演奏がまだあるのよ。でも観衆が興奮すると,まだ演奏が終わらないうちに立ち上がって拍手を始めちゃうことがあります。反田さんも過去にそれを見ていて憧れていたそうなんだけど,今回,反田さんの演奏では,見事にそれが起きましたね。本人も控え室に帰ってから,何度も「やった」というポーズをしていましたね。

小学生の頃からの幼なじみが,ショパンコンクールの同じ大会で2位と4位に同時入賞するなんて,凄いことですよね。本人たちも言ってたけど,まるで映画かアニメのような話です。ピアノの森でも,同級生が出場したけど,一人は2次予選敗退でしたよね。ある意味アニメよりすごい,です。

あきな

反田さん,小林さん,ご結婚おめでとうございます

みどり

などと,ちんたら書いていたら,元日にすごい発表がありましたね。お二人はご結婚され,妊娠もされているようです。反田さんは以前にロシア人と結婚されていたので,再婚ということになります。

ビックリしました。ものすごいゴージャスなカップルですね。先生も驚きました?

あきな
みどり

いいえ。以前反田さんが,小林さんについて,「将来,年をとっても,お茶を飲みながら二人でピアノの話でもしていたい」というようなことをおっしゃっていたので,(内容については記憶があいまい)ああ,特別な御関係なんだろうな,と思っていました。だからいずれはそういう発表があるのかな,と。 ま,新年早々,おめでたい話でした。

こういう方達ってやっぱり絶対音感とか持ってるんですかね。

あきな
みどり

角野さんは9歳でテレビ出演した時に「絶対音感を持つ」と紹介されたそうです。反田さんも,幼い頃母親が弾いた曲を聞いて,すぐに弾けたそうよ。

でも,絶対音感を持つとか持たないとか言うけど,本当は絶対音感って色々な種類があるのよ。それに基準となるドの周波数だって時代と共に変わっているしね。ま,そういう話はまた追々していくわね。

そうなんですかぁ。色々複雑なんですね。

それにしても,記事を書いている最中に,何か発表があるというのが多いですね,このブログ。 

なにはともあれ,おめでとうございます。末長くお幸せに。

あきな

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